娘が生まれた。その瞬間、いろいろな謎が解けた。ぜんぜんかわいくないこどもの写真
を年賀状に使うひとの気持ちとかだ。以前は、そういうひとの気持ちがさっぱり理解で
きなかった。親としては、かわいいだろうが客観視という概念は、ねえのか、と。ない
のだ、と、解った。一気に理解した。妻は産むとき、すげえ苦しんだ。死ぬかと思うほ
ど。俺は端で励ますふりして呆然としていた。たまに疲れて妻に出された病院食を喰っ
たりこんなに大変なら子供なんて…と思ったりした。でも、産まれたとき、そういうの
は、すべて帳消しになった。調子のいい話しだと自分でも思う。思うけど、娘の威力は
それほどすごい。嘘だと思うなら娘を産んでみるがよい。俺が産んだわけじゃないけど。