ヤバイ

あと、ひとつきほどで三十八歳のボいどん(『僕』と『おいどん』を合体させた一人称)。
だけど、気持ちは若者だ。ご飯を食べて旨ければヤバイヤバイ言う。もぐもぐ、ヤバイヤ
バイ、むしゃむしゃ、ヤバイヤバイ。黙って食べなさいと怒られるくらいにヤバイヤバイ
言う。そして、ピンチや危機や追いつめられた状況のときは、美味しいだの言う。自分で
言ってて意味わからないけど、約三十八歳の若者なのでそれでいい。ヤバイのは、ヤバイ
ヤバイ言うてるお前だろ、と、突っ込みたくなるが若者なので、そんなおっさんみたいな
ことは言っては、ならない。そんなことを言ったら言った途端に「なに、このおっさん、
美味しい」と本物の若者に言われちゃうからな。ほんとうに若者は嫌な存在であります。